睡眠時無呼吸症候群の主な種類と重症度

群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター

コラム 心臓病あれこれ

石井
|センター長|

睡眠時無呼吸症候群について造詣の深い群馬大学循環器内科高間准教授からのコラムです。
昼間に眠くなる方の中には、しっかり検査をすると睡眠時呼吸症候群のこともあり、結構皆さん知らずに過ごされていることも多いそうです。また「いびき」をかく方は、要注意とのこと。
睡眠時も呼吸症候群とは何か、そして注意しないといけないことは何かを5回シリーズでお届けします。

担当:高間

 睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome: SAS)の主な種類として

  • 気道の閉塞が引きおこす閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome: OSA)
  • 呼吸中枢の問題で引き起こされる中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central sleep apnea syndrome: CSA)

があります。一般的にOSAを発症する方は、絵に示す肥満体型のことが多く、『昼間のねむけ、いびき』などの特徴的な症状を有しています。

注意しなければならないこととして、我々日本人ではこのような肥満体型でなくてもOSAを発症することあるということです。これは、顎を中心とした骨格の問題と考えられています。実際私が診察している患者さんのうち、絵に示すような体型の方は1/3未満です。一方でCSAに関しては、「脳から呼吸をするように」との命令系統に何らかの障害が生じ、正常に機能しないことから発症すると考えられています。

チャールズ・ディンケンズ著:「ピックウィック・クラブ遺文録」より引用

SASは、重症度(どのくらい頻回に起こるか)とねむけなどの症状の有無によって評価されます。重症度に関しては無呼吸低呼吸指数(Apnea hypopnea index: AHI)を用います。この指標は1時間あたり何回無呼吸や低呼吸が存在するかを表すものです。注意すべきは一瞬だけ呼吸が止まるようなものは含まれておらず、少なくとも10秒以上無呼吸や低呼吸が続く場合のみをカウントしたものであるということです。

1時間に5回以上(AHI≧5/hour)がSAS陽性基準です。一般的に15-30/hourを中等症、それ以上を重症と判断することが多く、このような症例を睡眠呼吸障害 (Sleep disordered breathing: SDB)陽性と表現しています。

また、ねむけなどの症状は図にお示しするEpworth Sleepness Scale (ESS) score1)を用いることで簡便に計測することができます。

【参考文献】

1) Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep 1991; 14: 540-5.