【医療機関向け】HFpEF診断計算ツール(BREATH2スコア)の紹介
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
コラム 心臓病あれこれ
【医療機関向け】HFpEF診断計算ツール(BREATH2スコア)の紹介

循環器内科
小保方 優

循環器内科
鏡 和樹
心不全患者は年々増加しており、世界的には「心不全パンデミック」と称される深刻な問題となっています。中でも「左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)」は、心不全全体の50%以上を占め、超高齢社会の中、その患者数はさらなる増加が予測されています。
HFpEFは早期発見が難しく、進行してから初めて診断に至ることも少なくありません。特にプライマリケアの現場では、「息切れ」を主訴に受診する患者の中にHFpEFが潜んでいる可能性がありますが、これまで循環器専門医への紹介基準が明確ではありませんでした。
そこで我々は、日本人データを基に「息切れ」患者におけるHFpEFの可能性を評価し、循環器内科への紹介基準となるBREATH2スコアを開発しました(J Cardiol 2025 doi: 10.1016/j.jjcc.2025.03.018.に掲載されております)。このスコアは、患者情報、血液検査(ヘモグロビン、BNPまたはNT-pro BNP)、心電図(心房細動の有無と左室肥大を疑う所見)、胸部レントゲン(心胸郭比)といった日常診療情報から、HFpEFの確率を簡単に算出するもので、心エコーを必要としない点が大きな特長です。これにより、心エコーの実施が難しいプライマリケアの現場でも、HFpEFの早期発見が可能となる画期的なものです。
当院では2022年に「息切れ外来」を開設し、「息切れ」症状の中からHFpEFを早期発見する取り組みを進めており、ぐんまのうしんでは、県内で心不全早期診断治療を目標として掲げてきております。息切れを有する患者に対しては、BREATH2スコアのオンライン計算ツールをご活用いただき、必要に応じて循環器内科ご専門の先生方へご紹介をご検討いただければ幸いです。また本ホームページのハートメールもご活用いただければと思います。
オンライン計算ツール
HFpEF診断計算ツール BREATH2スコア・ESEスコア

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