ロンドンバスの運転手と車掌の心臓病に関する研究
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
コラム 心臓病あれこれ

センター長
ロンドンバスの運転手と車掌の心臓病に関する研究
運動療法の重要性を有名にしたのは、1953年に著名な医学雑誌Lancetに発表された研究といわれています。この研究では、2階建てのロンドンバスの運転手さんと車掌さんを比較して、心臓発作と心臓病による死亡の頻度が調査されました。
結果は、図に示すように、心臓発作と心臓病による死亡はどちらともに車掌さんと比べて運転手さんの方が多かったんです。注目すべきは、55歳を過ぎると、傾きが大きくなっており、年齢を重ねるほどその傾向が表れていることです。
運転手さんは、当然座りながらバスの運転をします。事故が起こらないように精神的にも緊張の連続かもしれません。一方、車掌さんは一階と二階を上がったり下がったり、料金回収したり動き回っています。運動不足になると心臓病になりやすいと考えられるきっかけとなった大きな研究でした。
このコラムを読んでおられる方の中には、多忙な生活を送られているかもしれません。少し時間を見つけて、運動しては如何でしょうか?特別なことをやらなくても、ウォーキングでも効果があります。今度は、どれくらい歩いたら良いのかを書いてみたいと思います。
参考文献;Coronary heart-disease and physical activity of work. Moris JN, et al. Lancet 1953;262(6796):1111-20
