第29回日本心不全学会学術集会報告
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
第29回日本心不全学会学術集会報告

センター長
10月10日-12日まで鳥取県米子市で第29回日本心不全学会学術集会が行われました。10日のハートチームパネルディスカッション3では、「心不全に対する脳卒中・心臓病等総合支援センターのとりくみ」という内容で、本県を含む選ばれた5自治体のパネルディスカッションが行われました。その様子をレポートします。
10月10日第29回日本心不全学会学術集会のハートチームパネルディスカッション3では、「心不全に対する脳卒中・心臓病等総合支援センターの取り組み」ということで、選ばれた5自治体より熱いディスカッションが行われました。
石井センター長からは、お示しするスライドでの発表を行い、群馬県での取り組みを発表させていただきました。
本県以外の4自治体の発表要旨をお示しします。
岡山県(岡山赤十字病院 リハビリテーション科 安藤 可織先生ご発表)
岡山県独自の心不全手帳のお話をいただきました。安藤先生より、岡山県で使用されている手帳をいただきましたが、心不全のお話だけでなく、その上流にある疾患(例えば心不全の原因になる心筋梗塞発症の機序)の解説もしっかりあって、病気を知ってもらう上で非常に重要な取り組みを行っていることがわかりました。安藤先生から本センターにも同手帳を頂戴しましたので、こちらを参考に群馬県でも生かしていきたいと思います。岡山県の手帳イメージキャラは「桃太郎」です。岡山県の脳卒中・心臓病等総合支援センターは岡山大学に設置されていますが、ご発表は岡山赤十字病院リハビリテーション科安藤先生ということで、岡山県内に広くこの取り組みが広がっていることを感じ取ることができました。
なお、群馬県のACS-CCS手帳に関しては、岡山県の取り組みも大いに参考にさせていただいております。この場をお借りしまして、岡山県の方々に感謝申し上げます。
熊本県(熊本大学病院 循環器内科 山本 正啓先生ご発表)
熊本県では、令和4年から本事業が開始され、我々の「大先輩」です。群馬県センター長は県庁医務課の方々と、令和5年1月に熊本大学に「のうしん」の制度などを教えていただくために、群馬県庁医務課の方とともにお邪魔しました。当時から先駆的な取り組みを見せていただき、熊本県・熊本大学からは多くのことを学ばせていただきました。
様々な部会が、県内全域をカバーする形で進んでいるところが非常に先駆的です。今回は両立就労支援部会や緩和ケア部会における具体的な取り組みと多職種連携について、特に強調されておられましたが、同様のことについて群馬県でも全県に広がるような取り組みを行っていくことが大事だと思いました。
また、総合ディスカッションでは、同県の災害医療についてもご教示いただきました。熊本の部会には災害医療も独立したものがあり、災害の多い日本では重要なことであると勉強させていただきました。
広島県(広島県脳卒中・心臓病等総合支援センター/広島県健康福祉局健康づくり推進課 高邊 未来先生ご発表)
広島県では2011年より「心臓いきいき推進事業」が展開されており、もともと循環器疾患に対する先駆的取り組みが行われていた地域として知られていましたが、「のうしん」開設により、更にパワーアップした事業をなさっておられます。広島県における、かかりつけ歯科医の先生方にも協力いただいている不整脈発見事業は有名ですが、簡易心電図などを用いた事業などもご紹介いただきました。
何よりも、県庁健康福祉局健康づくり推進課の方が心不全学会にご参加されて、同県の取り組みについてお話しされていることに感銘を受けました。
長崎県(長崎大学病院 地域医療連携センター 桑原 薫先生)
ぐんまのうしんの開設前に、石井センター長は群馬県庁医務課の方々とともに長崎大学脳卒中・心臓病等総合支援センターを見学させていただき、長崎県における様々な取り組みを学び、群馬県の事業に生かしております。
長崎県は、47都道府県一の離島を抱えるところです。そのような特殊な環境から、「のうしん」で訴えるべき事業を全県に広げるために、様々な工夫をなさっておられます。
心不全療養指導士カフェなどで全県において悉皆性のある事業を行うべく、長崎大学病院 脳卒中・心臓病等総合支援センターが中心となって進めておられる様子がよくわかりました。また、本セッションの座長をなさっておられた前村教授より、「のうしん」専任看護師の役割についてもご解説があり、同センターの広がりに貢献されていることを強調されておられました。
なお、ぐんまのうしんのACS-CCS手帳は、長崎県のものも参考にさせていただいており、普段ご指導いただいている前村先生と黒部先生に感謝申し上げます。
群馬県の発表スライドもご覧ください(こちらクリック)。今後、他自治体における先駆的取り組みも参考にしながら、ぐんまのうしんを更に発展させてまいりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター長 石井 秀樹
