ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)について
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
薬剤師からのひとこと

センター長
新たに、「薬剤師からのひとこと」というシリーズを開始します。
生活習慣の改善とともに、お薬を服用することは患者さんご自身でやっていただかないといけないことです。しっかりお薬を服用する(のむ)コツや、飲みにくい時にはどうするか、またあっては困るのですが災害などが生じた際にも役に立つお薬の情報など、当センターの薬剤師がコラムを書いてくれます。

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)について
こんにちは。
薬剤師の柴﨑です。
今回はミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)についてお話します。最初のコラムで、心臓の収縮機能が低い場合(心臓の送り出す力、つまりポンプ機能が低いというイメージです)は心臓を保護する薬を使うとお話しましたが、ARNI、MRA、SGLT2阻害薬、β遮断薬の4つを合わせてファンタスティック4と呼ばれています。今回お話するMRAも、心不全の「ファンタスティック4」を占める重要なお薬です。


アルドステロン は腎臓においてナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量を増加させ、血圧を上昇させる役割を担っています。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬はアルドステロンの作用を抑えることで心臓を保護します。また、水分や塩分を体の外へ排泄する利尿剤としての効果もあります。血圧が下がりすぎた時や、ホルモンバランスに乱れが生じる可能性があるため乳房が痛むなどの症状がある際などはご相談ください。
また、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の内服により、尿へのカリウムへの排泄が少なくなり、血液中のカリウム値が高くなることがあります。
高カリウム血症が進展すると不整脈を引き起こすことがあるので、以下の違和感を覚えたら早めの対応が必要です。
・手足や指のしびれ、麻痺
・脱力
・筋力の低下
処方された先生も、高カリウム血症の副作用があり得るということはよく理解されておられると思いますが、特に腎機能が低下している方、カリウムを多く含む食事時やサプリメントなどを摂取している方は注意が必要です。高カリウム血症が起こった際はカリウムを下げる薬を内服する場合があります。
高カリウムについては、採血をすればすぐにわかりますので、その点はご安心ください。