「かちかち心不全」として紹介されたHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)について
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
コラムコラム
「かちかち心不全」として紹介されたHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)について

小保方
2025年5月15日放送のNHK「明日が変わるトリセツショー」に、のうしんメンバーの循環器内科小保方医師が出演させていただきました。今回のテーマは、「かちかち心不全」として紹介されたHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)です。
のうしんメンバーの循環器内科小保方です。
2025年5月15日放送のNHK「明日が変わるトリセツショー」に、のうしんメンバーの循環器内科小保方医師が出演させていただきました。今回のテーマは、「かちかち心不全」として紹介されたHFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)です。心不全というと、心臓の動きが悪い状態をイメージするかもしれませんが、HFpEFは見た目の動きが保たれているため、診断が難しく、初期段階では見逃されがちです。しかし、心臓がかたくなってうまく血液を送り出せなくなることで、日常生活に支障をきたす深刻な疾患です。このHFpEFの重要なリスクは加齢や様々な生活習慣病ですが、特に高血圧が重要です。のうしんでも高血圧にならないために、これまで減塩の重要性を説明してきました。
番組内では、心不全の早期発見に役立つ「BNP」という血液検査についても詳しく取り上げていただきました。BNPは心臓がストレスを感じたときに血液中に分泌されるホルモンで、心不全の進行を早期に察知する“心臓のSOSサイン”とも言える血液検査です。症状が出る前から異常値を示すこともあるため、健康診断やかかりつけ医での検査に活用することで、心不全の早期発見に大きく貢献します。
また、2023年に私たちが中心となって前橋市で実施した、心不全の早期診断に向けた病診連携の取り組みも紹介していただきました。
このプロジェクトでは、地域のかかりつけ医と専門病院が連携し、BNP検査をきっかけに必要なタイミングで専門医による心不全の精密検査を行う仕組みを構築しました。これにより、症状の軽微な段階で心不全を見つけ、生活習慣の改善や適切な治療に早くつなげることが可能になりました。
今回の放送を通じて、多くの方に「かちかち心不全」であるHFpEFの存在とその重要性を知っていただければ幸いです。今後も地域医療の現場から、心不全の早期発見と予防に向けて尽力してまいります。
※BNPの代わりにNT-pro BNPを測定している施設もあります。詳しくはかかりつけの先生に聞いてみてください。