β遮断薬について
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
薬剤師からのひとこと

センター長
新たに、「薬剤師からのひとこと」というシリーズを開始します。
生活習慣の改善とともに、お薬を服用することは患者さんご自身でやっていただかないといけないことです。しっかりお薬を服用する(のむ)コツや、飲みにくい時にはどうするか、またあっては困るのですが災害などが生じた際にも役に立つお薬の情報など、当センターの薬剤師がコラムを書いてくれます。

β遮断薬について
こんにちは。
薬剤師の柴﨑です。
今回は心臓を保護する薬の1つであるβ遮断薬についてお話いたします。

分かりやすいように「心臓」をぐんまのうしん君、「体」を荷物に例えます。だんだん心臓が疲れると(=心不全)、荷物を運ぶのが困難となります。β遮断薬は脈を遅くしたり、血圧を下げることで、疲れた心臓を休ませ、負担がかからないようにします。つまり、心臓の働き方改革をしてくれるお薬です。


交感神経が働くと、心臓では心拍数が上がり、心臓の収縮力を強くする方向に働きます。β遮断薬はそういった交感神経の働きを抑え、過剰になった心臓の働きを休めて負担を減らし、心臓の機能を守ります。
20世紀の頃は、心不全にβ遮断薬は禁忌でした(使ってはいけませんでした)。というのも、弱った心臓を更に弱めてしまうのではないかと懸念されたからです。確かに、高血圧などで使用する量を投与すると心不全は悪化しますが、飲み始めは少ない量から開始し、血圧や脈拍、症状を見ながら徐々に量を増やしていくことで、最近は比較的安全に使えるようになってきました。もちろん使えない患者さんもお見えですので、かかりつけの先生とご相談ください。
また、β遮断薬は気管支喘息がある方には投与の制限があること、眠気やふらつきが出現することがあるので車の運転を含めた精密な機械操作ができなくなるものがあることに注意です。