3月17日に本センター主催3回目のACP(Advance Care Planning)研修会を開催いたしました。

3月17日に本センター主催3回目のACP(Advance Care Planning)研修会を開催いたしました。近藤 誠 先生(利根中央病院 循環器内科 部長)、佐藤 勝彦 様(富岡甘楽広域消防本部 富岡消防署 妙義分署 係長)のお二人よりお話をいただきました。

近藤先生からは、「いきかたノートの実践」というタイトルでのご講演でした。最初に医の倫理綱領のお話しをしていただき、実際の症例を通じて心不全緩和ケアの必要性についてお話しいただきました。その中で2014年WHOのデータでは、終末期に緩和ケアが必要とされる疾病の中で、悪性新生物(いわゆる「がん」)が34%であるのに対して、心血管疾患全体で38%とのことでした。いつも本ウェブサイトで記載しているように、群馬県でも悪性新生物と比較して循環器疾患が真因別死亡者数としては一位ですから、これら疾患に対して緩和ケアとACPが必要であることがよく理解できました。 また、利根中央病院で実践されている「いきかたノート」運用の方法、ACP聴取にはコミュニケーション能力、想像力、向き合った人に対するリスペクトの気持ちをしっかり持てる、そして謙虚さが必要であることについてご自身の経験も踏まえたお話をいただき、「いきかたノート」の実践は、医の倫理綱要実践そのものということを教えていただきました。ぐんまのうしんで作成している「いきかたノート」も近藤先生から様々教えていただいた内容を使用させていただいております。 佐藤様からは、「ACP(人生会議)と消防の関りについて」というご講演でした。地域包括ケアの一員として、消防も医療機関、訪問看護、ケアマネージャー、公営者施設、富岡甘楽地域かぶらネットとともに重要な構成をなしていることをお話しいただきました。ACPまたDNARの普及・認知度が世の中に十分普及はしていない現状であることに加え、救急隊出動時にDNARと決めてあった方が心肺停止した際に出動要請が来た場合の対応方針決定についても全国の消防で定めがないところが大多数とのこと。消防法の解釈によって、現場で非常に難しい対応を迫られる救急隊の生の声から、法制度が不十分かもしれないと感じました。看取りをご希望である方に対して、医療スタッフから「もしもの際」にどうしたらよいのかということもお伝えすることが大事なのかと思った次第です。 

群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター長 石井秀樹