10月29日世界脳卒中デーと群馬県の取り組み
群馬大学医学部附属病院脳卒中・心臓病等総合支援センター
コラム 脳卒中あれこれ
2014年ころ、ACジャパンのCMで、笑点でおなじみの林家たい平さんのナレーションで、脳梗塞の兆候とも言える身体の変化を漢字のへんとして捉え、口・言・手の3つの部首を用いたなぞかけがありました。「脳梗塞の症状とかけまして、口へん:「片方の口角が上がらない」、言(ごん)べん:言葉が出ない、てへん:「片側の腕」がうごかない、と説きます。その心は、3つの変には救急車を!」というものでした。覚えておられる方も多いのではないかと察します。この度、副センター長である、大宅宗一脳外科教授から、上記「3つの変」+急いで救急車を呼ぶ(時間)ことも加えたFASTのご解説です。加えて「世界脳卒中デー」に関わる企画もご紹介いただいております。
10月29日世界脳卒中デーと群馬県の取り組み
10月29日は「世界脳卒中デー」です。
2006年に世界脳卒中機構(WSO)が中心となり、世界脳卒中デーが制定されました。WSOとは、世界中の脳卒中の研究者や支援団体などが協力して設立された国際的な組織です。脳卒中のシンボルカラーは”インディゴブルー”、すなわち青色(藍色)です。個人的にも藍色には癒やされるような感覚や将来の希望を感じるような印象があり好きな色ですが、脳卒中デーにはぴったりのように思います。
皆様は、「脳卒中は突然発症して、発症したら治らない、そして命に関わることもある」、という印象をお持ちではないでしょうか。今でも一部は正しいのですが、しかしあえてここは「脳卒中は防げるし治せます」ということを強調したいと思います。
まずなんといっても脳卒中は予防が可能なのです。とくにバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙は言葉では言い尽くせないほど重要です。なにも病院に行かなくても、自宅で定期的に血圧と体重を測るだけでもよいのです。加えて高血圧や糖尿病、脂質異常症を持っている人は、病院・クリニックで定期的な検査を受けるようにしましょう。
次に本格的に発症する前に予兆的な症状が短時間出現する方がいらっしゃいます。これを放置しないでください。脳卒中の主な症状には、顔や手足のしびれや麻痺、話すことが難しくなる、視界がぼやけるなどがあります。特に顔が片方だけ下がる、片方の腕が上がらない、話し方がおかしくなるなどの症状が見られた場合は、「F.A.S.T.」という合言葉を思い出してください。ご家族や友人の様子がおかしいとき、
・ 顔がゆがんでないか(Face)
・ 両腕を「前ならえ」の状態で保てるか(Arm)
・ お話ができるか(Speech)」
を確認し、正常でないと感じたらすぐに(Time)病院を受診することです。診断と治療が間に合えば脳梗塞にならずに済みます。
群馬県では世界脳卒中デーに合わせ、日本脳卒中協会群馬支部との共催により臨江閣をブルーにライトアップします。また群馬県にもご後援いただき、本年10月29日には上毛新聞に脳卒中に関する啓発広告が掲載されました。
群馬県では2001年からの「元気県ぐんま21」、および2022年からの「ぐんま循環器病対策シームレス・プロジェクト」などを通してさまざまな施策を行っています。実際に脳血管障害における年齢調整死亡率の低下が達成されています。
秋の夜長に、澄みやかな青の光に包まれた臨江閣をご覧いただいて、脳卒中についてご家族とお話なさってみてはいかがでしょうか。