開催報告「脳卒中リハビリテーションとそれを支える社会制度」

お知らせ

リハビリテーション部 伊部洋子

3月2日 臨床中講堂とオンラインのハイブリッド形式にて「脳卒中リハビリテーションとそれを支える社会制度」の勉強会を行いました。

 最初に、当院の理学療法士で心臓リハビリテーション指導士でもある 新田 祥悟 さんより、心不全の治療中に脳梗塞を合併した症例のリハビリテーション報告がありました。

比較的若年の方でしたが『脳画像から推測される症状』よりも『実際の臨床所見』が悪く、発症当初は「寝たきりになってしまうかもしれない」と予後不良の判断をされました。しかし、リハビリテーションを開始して約1か月過ぎより片麻痺が改善、最終的には歩行も可能となり、社会復帰も見据えてリハビリテーション目的に転院されていきました。この『脳画像と臨床像の違い』について、心不全など心疾患が脳血流に与える影響や「機能解離Diaschisis」と呼ばれる脳梗塞発症早期の現象について、文献を踏まえた考察を教えていただきました。

わかりやすくまとめると「心不全を合併していると片麻痺が重症化する可能性がある」「脳の機能が回復するのを待ち、時間をかけてリハビリを行ったら機能が回復した」という報告です。

リハビリテーションは『奇跡を起こす魔法』でも『やる気と根性で歩かせる』でもありません。脳卒中の病態や脳機能の理解、人間の筋骨格構造や運動学などの医学的知見の積み重ねに基づいて、患者さんと二人三脚で行う医療です。

「リハビリって、結構いろいろ考えてるんだ」と少しでも思っていただければ幸いです。

 後半は当院の医療ソーシャルワーカーの松本 茉莉花 さんから「療養生活を支える社会保障制度」についての講演がありました。

「入院していきなり手術、ICUに入室したんだけど、手術費用・入院費用はいくらかかるんだろう・・・!」「働けない期間の生活費はどうすればいいの?」という患者さんやご家族の経済的な不安を支える高額療養費制度や、治療期間中に受け取れるお金について説明していただきました。また『リハビリ転院』とひとくくりにされがちな療養先の違い、介護保険とそれの支援制度についてもわかりやすく話がありました。

講演の中で松本さんより『先生(医師)のお話が患者さんにとって一番響くんです』という言葉がありました。

… 医師から「もう寝たきりですかね」「じゃあリハ転院してください」あるいは「障害者手帳もらえば医療費がタダになるから」「これくらいじゃ障害年金はもらえないでしょ」… 何気なく口にされた主治医の言葉はとても重く患者さんや家族の心に残ります。しかし臨床現場で一生懸命働いている医師はこうした社会制度にあまり詳しくないのが実情です。「実はよく知らない」医師も看護師も、わからないことがあったら支援センターに聞きにきてください。患者さんにとって、きっといい方法があると思います。そして、患者さんもご家族を支援センター(ぐんまのうしん含む)にご紹介くだされば、一生懸命対応させていただきます。

のうしんくんの左手は「困っているだれかの手」をつなぐために待っています!