開催報告「肺高血圧症院内勉強会」

開催報告「肺高血圧症院内勉強会」

 ぐんまのうしんセンター長 石井秀樹

2月16日、ぐんまのうしん主催 肺高血圧症院内勉強会を行いました。

普段から肺高血圧診療を柱の一つとしている循環器内科専門医2名、心不全療養指導士資格をもつ看護師1名よりお話をしてもらい、肺高血圧への理解を深めました。

トップバッターとして、群大の肺高血圧症分野リーダーである高間典明循環器内科准教授より「肺動脈性肺高血圧症とは」というタイトルで肺高血圧症の定義や病態についてご解説いただきました。

のうしんセンター長や、高間先生が学生だった頃(約30-35年くらい前)の教科書では、肺高血圧症は呼吸器分野に記載があった疾患です。それから肺高血圧症の分類や診断方法、そして治療方法も様々かわり、今は循環器内科が主に治療する病気となってきました。しかしながら、肺高血圧の原因となる疾患は多岐にわたり、膠原病、HIV、肝硬変、薬剤などが原因となり、患者さんにとって最初の窓口が皮膚科だったり、消化器内科であったり、また最も多いのがかかりつけの先生方であったり・・・そこで気づいてもらうことが大事であり、実は結構隠れている疾患のため、肺高血圧症を正しく理解いただくよう、疾患啓発をやっていくことが大事であると語ってくれました。

ご自身が肺高血圧症と闘っていた小坂流加さんが書いた小説、そして映画になった「余命10年」のお話や、一青窈さんが制作した「6分」という歌は一青さんが肺高血圧症について皆さんに知ってもらうために作成したものであること(肺高血圧症の診断に使うこともある6分間歩行検査から着想を得たとのこと:ヤンセンファーマURLより)など教えていただきました。

続いて群大でカテーテルインターベンションも中心的に行っている石橋洋平先生からは、肺高血圧症の治療についてご解説いただきました。肺高血圧症は、5つのタイプにわかれますが、それぞれのタイプによって治療法が異なります。1)肺動脈性であるⅠ群は入血管拡張薬、2)左心疾患に伴うⅡ群は心不全治療、3)慢性呼吸器疾患や低酸素に伴うⅢ群は原病の呼吸器疾患治療や酸素療法、4)肺動脈血栓症などの肺動脈閉塞に伴うⅣ群は入血管拡張薬・抗凝固薬とともに血栓除去手術やバルーン拡張術、5)分類不能或いは複合的要因のⅤ群は症例に応じた治療、という原則を説明してくださいました。

特に肺血栓塞栓症に対する経カテーテル的肺動脈バルーン形成術(BPA)について詳しくお話しくださいました。石橋先生は、群馬県で唯一のBPA施行医ということであり、このようなお話を聞く機会は多くはありませんので、大変貴重でした。

最後に、日本循環器学会認定心不全療養指導士の大澤佳奈看護師より、「肺高血圧症とわかるまでー診断までの長い道のりー」というタイトルで、2025年12月―2026年1月まで17名の患者さんからご協力いただいたアンケートを基にした講演をしていただきました。

 肺高血圧と診断されるまで、どのような軌跡があったのか、診断された際にはどのような気持であったのかということを詳細に調査してくれました。若い方は、身近な方からはむしろ病気ということを気づかれにくいといったこと、また肺高血圧と診断された際に、大変な病気であるというように思う方もいる一方、診断がついてよかった、あるいは自分のつらい思いを理解してもらえるようになってよかったといった切実な思いを聞き、医師として非常に思うところがありました。

 今回の講演会が、肺高血圧症の早期診断につながり、この疾病からくる症状で悩んでおられる方にとって、診断や治療の機会を逃さないための一助となればうれしく思います。